【抄訳】Billboard / EXO's 'Obsession' Album: How the Songs Came Together ①

はああああ〜ジョンデ元気かな、歌ってるかな、美味しいもの食べてるかな、よく寝てるかな笑ってるかな…という一連の問いかけをだいたい一日おき、いや毎日呟いている今日この頃です。ご無沙汰しております。幸い私は至って元気ですが、自分も含めて人間の浅はかさや悪意にがっかりしたり、良識を持って高潔に生きていくのがいかに難しいことかと日々思い悩んでみたりしています。今のこの世界的なコロナ危機のこともあって、頭の中はなんだかずっとモヤモヤしてますね…そしてジョンデは元気かな(くどいぞ)。

 

さて、先日ビルボードに、EXOの第6集Obsessionに関する、ボリュームたっぷりの記事が上がりました。収録曲に関してプロデューサー陣が解説してくれていて、制作エピソードが大好きな音楽オタクには垂涎ものの記事でした。その場の勢いで面白い部分だけ訳したのですが、Tweetだとやがて自分でもどこに行ったか分からなくなること確実なので、ここに抄訳をまとめておきます。

 

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なるべく文意を損なわないように注意していますが、意訳、要約込みなのでご注意ください。先日Twitterにアップした訳がメインですが、少し加筆した部分もあります。

 

www.billboard.com

 

【Obesession】


EXO 엑소 'Obsession' MV

 

Dem Jointz(作曲、編曲):

僕は自分の音楽には矛盾する要素があって欲しいと思っている。明日への希望や愛を語るのであれば、音楽は悲しく怒りに満ちた響きにするとかね。そういうコントラストを与えなきゃ。

 

この曲のことは(数人で共作したデモの段階から)気に入っていて、SMに曲を披露する機会が巡って来た時、僕らはこの曲を聴いてもらったんだ。おそらく事務所はずっと、この曲を出したかったんだろう。(2016年からこの曲のことを)しばらくキープしておいて、どのグループが何を出すかとか、構成をどうするかとか、そういうことを考えていたんじゃないかな。

 

EXOには数年前に"Cloud9"という曲を提供したので、その時の仕事から彼らには馴染みがあった。なのでこの曲をEXOがリリースすることになったと聞いた時には「まじで!やった!!」って感じだったね。

 

最終的な仕上がりは、めちゃくちゃかっこいいと同時に、可愛げもあった。「Bad boy的なノリでいこう」と思ってたんだ。わかるよね?窓割ってやろうぜ!みたいなね。(中略:verseとBセクションのグランジギターのループ音について、唸り声みたいなノイズだよね?とした上で)ある種の楽器の音は、理解できようができまいが、何かしらの感情を掻き立てる。そういう感情を掻き立てるとしたら、その音はそこにあるべき音だということだよ。この曲においては、僕があれを作った時に感じた感情をみんなが抱くんじゃないかな。

 

良い曲を作ろうと思ったら、激しさのある、ダークで不穏なものする。そこに美しくメロディアスなものを載せていく。僕は汚く泥臭くありたいし、自分の音楽は胸を打つリアルなパンチのようなものであって欲しいと思ってるんだ。

 

 

Adrian McKinnon(作曲):

初期段階では僕はこの曲には参加していなかった。SMの担当者から僕のところに持ち込まれたんだけど、この曲に足して欲しい要素についてのメモがついていたことを覚えているよ。つまり、その段階でほぼ仕上がっていたんだ。彼らは部分的に仕上がった曲を送ってくれた。verseとか、コーラスのアイディアもいくつか含まれていて、最終の仕上げをして欲しいというオーダーだった。それでverseの二つ目とブリッジ、それから色々なパートをまとめるための繋ぎの部分を仕上げたんだ。

 

EXOの独特なところは、例えばMonsterなんかもそうだが、多くの曲が長調と短調のMIXなんだよ。この曲もダークな短調で始まるものの、そこかしこでメジャーコード(長調)が聴こえる。長調のブリッジ部分は、ダークな曲調にコントラストを与えてるよね?ブリッジの役割はそういうものだ。(2メロでのチャニョルのラップ部分について)コーラスからラップ部分にかけて、空白(伴奏が止まる部分)がある。ここに関しては「このままにすべきか?何か音を加えるべきか?」という議論があったけど、結局空白にして残すことにした。ここでは彼らが踊ればいいんだ、と。この子たちは踊れるんだから。

 

"Superhuman"や"Jopping"では厚みのあるコーラスを使った。だからあの時点で僕は「馬鹿の一つ覚えみたいに同じことをしないほうがいいかな」と思って、"Obsession"では(そういうものは)全然やらなかったんだ。ブリッジでは(ハーモニーなしの)単独の高音を響かせる方がいいかと思っていた。だって良い高音パートが嫌いな人なんていないだろう?でも彼ら(SM)は「いや、ハーモニーの壁が必要だ!」って感じだったんだよね。それで最終版を聴いてみたら、あのハーモニーが出てきたんだ。あれは僕の手柄じゃないよ。すごく良かったけど、僕がやったことじゃない。SMと仕事をするっていうのはそういうことなんだ。彼らの要求をよく理解しているチームの一員になるってことなんだよね。でも、うん、あれは僕じゃない(笑)ブリッジは僕が書いたけど、単独の高音にするつもりで「きっと気に入ってくれるだろう」と思ってた。でも最終の仕上がりを聴いて、「ああ、OK、いいよ、問題ないよ!」って(笑)

 

 

【Trouble】 


EXO (엑소) - Trouble (Color Coded Lyrics Han/Rom/Eng/가사)

 

Jin By Jin(作曲、編曲):

この曲自体はみんなで1日で書いて、仕上げに更に半日かけた。それからいくつかのパートを際立たせるためにそこかしこに少し手を加えた。ブリッジに関してはちょっと違うんだけど、レゲエのテイストを入れてサプライズ感を出してみたかった。聴いている人はこういうトラップ*1の音とか、もったりしたリズムに2番のコーラスまでに慣れてくるわけだから、「ここにレゲエのギターを加えたらどうかな?」と思ったんだ。レゲエパートを足してみたら、完全に正解だったね。

 

EXOは…音楽的特徴から考えると、すごく幅広い。プロデューサーとしては大変な挑戦でもあるけど、いつもとても楽しいよ。僕はクラシックの楽器を使うのが好きなんだが、サビがとても壮大で、サビ前のパートも美しかったから、「もっとエキゾチックで壮大にするために、クラシックの楽器を加えたらどうだろう?」と考えた。付加的なパートなのでメロディラインを書くよりもかなり終盤で加えた。このストリングスの音がまた別のひねりになっていると思うよ。

 

レコーディングは2回に分けた。それぞれのメンバーに異なる役割があるのは明らかだったから、それぞれのメンバーの特徴を捉えたかったんだ。チャニョルはラッパー以上の存在だよ。彼曰く、これはEXOの曲の中では一番高音を使う曲の一つだったと。コーラス部分で彼が出したハスキーな高音だね、僕は彼に「すごく良いよ!その声をもっと使いなよ!」と言った。胸から出した声で、その音階でとてもクリアに響いたんだ。

 

チェンは…最後の高音のアドリブパートは、おそらく2〜3回録っただけだと思う。(1回目)彼が高音を出した後「OK、いいね!もういいよ」という感じだったのに、チェンが「Jin、縁起担ぎにもう一回やってもいいですか?」と言うので、やってもらった。録り終えて、僕はまた「OK!できたね!」って感じだったんだけど、彼がもう一度「最後の一回!」と言うので、結局3テイク撮った。「いやあ、本当に歌が上手いね」って感じだったよ。ベッキョンも素晴らしい。あちこちで聴ける彼のアドリブは本当に素晴らしかった。チェンとベッキョンのハーモニーは…実は彼らは音階は知らないまま、耳で聴いて完璧に歌ってくれたんだ。

 

スホは柔らかい声の出し方が素晴らしかったし、曲へのアプローチの仕方も信じられないレベルだった。セフンは溌剌としていて、アイディアを沢山出そうとしてくれた。「こういう風にやってみたらどうだろう?」とね。オフビート(2拍目と4拍目にアクセントを置く)のラップ、グルーヴ感でやろうとしたんだ。彼はラッパーでありダンサーだから、自分なりの解釈をしたかったんだね。カイには強い個性があったよ。彼はこの曲を理解しようと努力していて「もっとやりたい」と。本当に頑張っていた。僕からすれば「いやいや素晴らしかったよ、これ以上やりようがある?」という感じだったが、「もっとやりたいです、もっと良くしたいです」とね。メンバー全員すごくこの曲に集中してくれて、良い時間を過ごしたよ。

 

 

 

訳は、とりあえず今日はここまでにします!

 

わずか2曲でだいぶエネルギー切れですが、プロデューサー陣の話、非常に面白いですね。前作のタイトル曲であるTempoも数年がかりの大作だったようですが、Obsessionもまた、かなり前の段階でネタがあったとは。それから注目すべきは、世界中から色々なプロデューサーやソングライターを起用しても、結局大元の方向性は事務所がガッチリ握っているというところ。Obsessionのクレジットにはスーパーバイザーとしてヨンジン先生の名前も載っていますが、最終的な仕上がりの判断は、結局スマンちゃんに委ねられているのかなあ…彼に申し上げたいことは山ほど(ええ、山ほどね!)ありますが、こういう作品の全体のプロデューサーを務められる彼の音楽的センスや人材抜擢のセンスなどなど、少なくとも作品をプロデュースする力に関してはぐうの音も出ませんわ…

 

TroubleのプロデューサーのJin By Jinは各メンバーのレコーディングの様子に触れていて、これもまた面白い。ジョンデのこの「もう一回」の様子は、ジョンデペンの皆様ならきっとすぐさま想像できることかと…

 

 

ううう、歌に対していつでも真剣で、完璧主義者のこの方が私は本当に好き…どうかこれからもあなたの歌の世界を追求し続けて…

 

それから、今日またクレジットを見ていて気づいたんですが、Obsessionのバックコーラス、韓国語版はベッキョンとジョンデ、それから作曲者の一人でもあるCristi "Stalone" Galloさんなんですが、中国語版はジョンデとStaloneさんだけなんですね。それほど深い意味はないのかもしれませんが、レコーディングの時期にベッキョンが忙しかったからかなぁとか、色々想像してしまいます。それと、第6集になってもなお、スタイリストさんの名前はEXO-KとEXO-Mの別表記になってるんですね。コンサートなんかのDVDもこういう表記で出てきますが、Mは今ジョンデ一人なのに、仕事量が全然違うのでは…という、ささやかな気づきでした。また記事の続きを頑張りまーす!

 

*1:ヒップホップルーツの音楽ジャンル、ゆっくりしたBPM(テンポ)にチキチキ…というハイハットの音が乗り、音数は少なくスカスカ…というのが典型的なトラップの音です。